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deep breathing.
9/27/2013
帰郷
谷川俊太郎
私が生まれた時
私の重さだけ地が泣いた
私は少量の天と地でつくられた
別に息をふきかけないでもよかった
天も地も生きていたから
私が生まれた時
庭の栗の木が一寸(ちよつと)ふり向いた
私は一瞬泣きやんだ
別に天使が木をゆすぶった訳でもない
私と木とは兄弟だったのだから
私が生まれた時
世界(コスモス)は忙しい中を微笑んだ
私は直ちに幸せを知った
別に人に愛されたからでもない
私は世界(コスモス)の中に生きるすばらしさに気づいたのだ
やがて死が私を古い秩序にくり入れる
それが帰ることなのだ
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